東京地方裁判所 昭和44年(特わ)571号 判決 1970年3月11日
本店所在地
東京都新宿区四谷二丁目四番地
株式会社甘栗太郎
(右代表者 柴源一郎)
本籍
茨城県下館市大字野殿六〇三番地
住居
東京都杉並区今川四丁目一六番二〇号
会社役員
柴源一郎
大正六年七月一三日生
右両者に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官上田政夫出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告株式会社甘栗太郎を罰金一、〇〇〇万円に、
被告人柴源一郎を懲役六月に
それぞれ処する。
但し、被告人柴源一郎に対し、本裁判確定の日
から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告株式会社甘栗太郎は、東京都新宿区四谷二丁目四番地に本店を置き、果実の生産販売、乾鮮果実の輸出入、甘栗の製造販売等を営業目的とするものであり、被告人柴源一郎は、右被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人柴は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、かつ架空仕入を計上して簿外預金を蓄積する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、
第一、昭和四〇年一一月一日から同四一年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五五、七九〇、六三七円であつたのにかかわらず、同四一年一二月二六日東京都渋谷区千駄ケ谷四丁目一八番地所在所轄四谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六、七二〇、九八六円で、これに対する法人税額が一、七八二、六九〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額一九、四〇六、五六〇円と右申告税額との差額一七、六二三、八七〇円を免れ(所得の内容は別紙一修正損益計算書記載のとおり)
第二、昭和四一年一一月一日から同四二年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が九八、八一五、五三一円であつたのにかかわらず、同四二年一二月二〇日前記所轄四谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一五、九八一、六八七円で、これに対する法人税額が四、六三八、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額三三、五五八、一〇〇円と右申告税額との差額二八、九一九、八〇〇円を免れ(所得の内容は別紙二修正損益計算書記載のとおり)
たものである。
(証拠)
一、被告人の質問てん末書九通および検察官調書三通
一、田中光子の質問てん末書七通および検察官調書二通
一、清水彰一、土岐満の各質問てん末書
一、田中光子作成の「申告もれ卸売上明細表の提出について」と提する書面
一、木場勝英各作成の報告書および電話聴取書
一、柴一成各作成の受取利息明細表、支払利息計算書、開業費計算表、法人税額計算書
一、増田好男作成の証明書
一、登記簿謄本三通
一、法人税確定申告書三綴(昭和四四年押第一八〇〇号の一、二、二八)、総勘定元帳二冊(同四、七)、商品出納帳二冊(同六、九)、売上表二綴(同一〇)、所得税源泉徴収簿兼賃金台帳二冊(同一六、二二)、棚卸在庫帳(同一八)
(法令の適用)
判示各事実につき
法人税法一五九条(被告会社につきさらに同法一六四条一項)被告人につき各懲役刑選択
併合罪加重につき
被告会社に対し、刑法四五条前段、四八条二項
被告人に対し、同法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第二の罪の刑に加重)
執行猶予につき(被告人のみ)
刑法二五条一項
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 鈴木悦郎)
別紙一 修正損益計算書
株式会社 甘栗太郎
自昭和40年11月1日
至昭和41年10月31日
<省略>
別紙二 修正損益計算書
株式会社 甘栗太郎
自昭和41年11月1日
至昭和42年10月31日
<省略>
<省略>